第7章 おわりに”

第1節 D

第1項 “D”は本来的に何に由来するのか?

『ONE PIECE』第8巻SBS
D:「モンキー・D・ルフィ」の“D”って何!?
O:この質問はヒジョーに多いんですが……。
 多いんですが、しかし、答えるわけにはいきません。
 まだ、答えるわけには…。今はただ何も考えず、
 ”D(ディー)”と読んでください

当初、主人公のミドルネーム(モンキー・D・ルフィ)で単に格好をつけるための、無意味な一文字かと思っていたところ、尾田氏のこの一言で何らか意味が有ることが判明した。

Dがアルファベット一文字であること、8巻SBSでの尾田の回答から、Dには複数の意味が込められていることがうかがえる。

第2項 “D”の解釈の多様性

“D”とは何か? まず普通の受けとめ方は、何かの単語の頭文字(イニシャル)だろう。ちょっと捻って見ると、その象形から「半月象」。“D”の形は半月を表し、半月は月星人と地球人の混血(ハーフ)を意味するという解釈が巷では割りと支持を得ているようだ。

ここで、“D”がどんな意味を含み持つかということと、“D”がそもそも何に由来するのか、ということは分けて考えねばならない。

『ONE PIECE』第11巻96話
村長:「海賊は海賊じゃ!!」
マキノ:「でもあの子の夢だもの………心配?」
村長:「………”夢”か”運命”か………」

海賊となったルフィが賞金首として海軍から手配された際、出身地フーシャ村の村民がみな、その出世を喜んで騒ぐ中、村長だけはこうつぶやき嘆く。

夢はDream、運命はDestiny、共に“D”で始まる単語であることから、ミドルネーム“D”の意味に広がりを持たせるセリフだったが、何故「夢」か「運命」であるかの説明はここでも無い。

祖父の海軍中将ガーブはルフィを海兵にしたいと考えていたし、父ドラゴンは革命家であっても海賊ではない。

エースに対してのセリフであればともかく、ルフィがどのような「海賊になるべき“運命”」をもっているのか? ドラゴン共々親子二代で道を外したことへの皮肉でしか無いのか? 謎のままである。

ルフィのミドルネーム“D”について作中で正式に触れられたのは、ドラム王国編のラスト、ルフィの手配書を手にしたDr.くれはが、感慨にふけって周囲にこぼした以下のセリフだ。

『ONE PIECE』第17巻154話:DR.くれは
「お前達…ゴール・“D”・ロジャーを知ってるかい…」
「生きてたのか“D”の意志は…」

それまで「ゴールド・ロジャー」とされていた海賊王の本名が「ゴール・D・ロジャー」であることが明かされ、それと関連して“Dの意志”というフレーズが登場した。

ルフィとロジャーに血縁・縁戚関係があるのか? ミドルネーム“D”とは何? “Dの意志”とは何? 一切の説明もなく、謎を提示しただけであった。

その後、“D”のミドルネームを持つ者の登場や、「Dの意志」についてのセリフが散発的に続くが、いずれも内容は薄く、読者は理解よりもむしろ謎が深まるばかりだ。

第3項 Dの一族

作中に登場した「D」のミドルネームを持つ者たちは、以下の9名(6家系)。

▽ モンキー家
 モンキー・D・ガープ(ルフィの祖父)
 モンキー・D・ドラゴン(ルフィの父)
 モンキー・D・ルフィ(ドラゴンの息子)



モンキー・D・ガープ


モンキー・D・ドラゴン


モンキー・D・ルフィ

▽ ゴール家
 ゴール・D・ロジャー(エースの父)



ゴール・D・ロジャー

▽ ポートガス家
 ポートガス・D・ルージュ(エースの母)
 ポートガス・D・エース(ロジャーとルージュの息子)



ポートガス・D・ルージュ


ポートガス・D・エース

▽ マーシャル家
 マーシャル・D・ティーチ



マーシャル・D・ティーチ

▽ ハグワール家
 ハグワール・D・サウロ(巨人族)



ハグワール・D・サウロ

▽ トラファルガー家
 トラファルガー・D・ワーテル・ロー



トラファルガー・D・ワーテル・ロー

『ONE PIECE』第59巻576話:白ひげ
「ロジャーが待ってる男は…
 少なくともティーチ…
 お前じゃねエ…」

『ONE PIECE』第52巻507話:ロビン
「“Dの意志”って…一体何…?
 空島で見た”歴史の本文”に古代文字を使って
 ロジャーの名が刻まれていた
 彼はなぜあの文字が操れたの…!?
 …あなた達は800年前に始まる“空白の100年”に
 世界で何が起きたのか知ってるの!?」

『ONE PIECE』第32巻301話
ガン・フォール:「あの麦わらの小僧だが かつてのロジャーと似た空気を感じてならぬ」
ロビン:「彼の名はモンキー・D・ルフィ 私も興味が尽きないわ」
ガン・フォール:「”D”…成程名が一文字似ておるな…!! ははは…」
ロビン:「そう…それがきっと…歴史にかかわる大問題なの」

“D”がどんな意味を含み持つか、その解釈について読者の創造を掻き立てるための“一文字”である。“D”をDreamと解釈しようが、Destinyと解釈しようが、はたまた半月象と解釈しようが、それが今後明かされる様々な事実と反しない限り、読者の自由である。どんな解釈もそれが不正解でない限り、正解。この手の謎は、そのように捉えるべきだと考えている。

しかし、繰り返しになるが、“D”がどんな意味を含み持つかということと、“D”がそもそも何に由来するのか、ということは分けて考えねばならない。そもそも作者は「何故に“D”の一文字を選択したのか?」。更に言えば、「何故に“D”の一文字を選択したのか?」ということと、それを作中でどう説明するかはまた別問題である。

おそらく正解は「Dawn(夜明け)」の頭文字で、「ドーン」あるいは「ドォン王国」に由来するものと考えられる。理由は単純、作中で最初に登場し、その後も多くの場面でストーリー展開上のキーワードになっているからだ。重要なのは、最初に登場していることで、それも、それとなく。推理小説の作法として、犯人は序盤に登場しなくてはならないし、それでいて犯人らしくてもいけない。

フーシャ村の村長が「夢か運命か」と意味ありげにつぶやき、Dream とDestinyがいかにもそれらしく読者に提示された段階では、本命の“D”は密かに確実に登場済みのはずだ。

また、オハラのクローバー博士が巨大な王国の名を挙げようとした際に、銃で撃たれ殺害される。王国の名に被せるように銃声「ドォン」が描かれている。ドレスローザのコリーダコロシアムでのイデオの登場シーンで、効果音ドーンの「ン」の文字がイデオの名に添えるように描かれ「イデオン」と読める手法と同じだ。イデオのキャラクター材源は「伝説巨神イデオン」である。



伝説巨神イデオン

第4項 ロシナンテの爆弾発言

ここで、“D”の解釈の重大なヒントになるのが、ロシナンテの爆弾発言である。ローの本名を知ったロシナンテが、“Dの一族”の背景を話し始める。

『ONE PIECE』第77巻764話:ロシナンテ
「隠し名“D”…!!
 間違いない お前は宿命の種族
 “Dの一族”だ……!!」

  「おれの故郷では子供はこうしつけられる
 『行儀の悪い子は“ディー”に食われてしまうぞ』」

  「――しばしば世間で名を上げる
 “D”の名を持つ者達に対し
 老人達は眉をひそめてつぶやく
 『“D”はまた必ず嵐を呼ぶ…!!』」

  「真相は誰も知らないが
 世界各地の歴史の裏で
 脈々と受け継がれている名だ…!!」

  「――そしてある土地では“Dの一族”を
 こう呼ぶ者達もいる…!!
 “神の天敵”」

  「 “神”を仮に天竜人とするならば
 お前たちの目的は…!!
 “この世の破壊”なのかもしれない」

  「――だがドフィの目指すそれとは全く意味が違う!!
 “D”には“神”に相対する思想があるハズだ」

注目すべきは、ロシナンテが“Dの一族”のことを“ディー”と呼んでいる点だ。これまで一貫して“D”と表記されていたものがここで初めて“ディー”となった。それも、ロシナンテの故郷、つまり聖地マリージョアの老人たちのセリフとしてだ。天竜人は“Dの一族”のことを“ディー”と呼んでいたわけだ。

“D”一文字の表記は、何らかの単語の頭文字だと思われ、それは本来の語句を隠す意図がある。しかし、マリージョアの住人ん、つまり天竜人には、この世の創造主であるが故に隠語を使用する必要がなく、本来の名称を口にしていると考えられる。

“D”とは“ディー”の頭文字なのだ。

第5項 ラテン語で「神々」

ワンピースにおける様々な謎は、「失われた100年」に端を発し、「ポーネグリフ」と「“D”の意志」が時代を越えて受け継がれてきた。ポーネグリフは古代兵器を復活させ、「“D”の意志」あるいは「“D”の一族」は「ひとつなぎの大秘宝」を見つけ、世界をひっくり返し、世界中を巻き込んだ巨大な戦争を引き起こす。

神の名を持つ古代兵器が複数存在し、その名の由来から推測すれば、それらは互いに戦火を交える。古代兵器を何の目的で使用するか?が「“D”の意志」だとすれば、「“D”の意志」とは「神々の意志」と解釈してもいい。

「“D”の一族」とは、「神の天敵」であり、「“神”に相対する思想」を持つ。「神の名を持つ古代兵器」を使用し、「“この世の破壊”」を目論む。

・・・それはもう、神ではないのか?

『ONE PIECE』第77巻763話
天竜人:
「正気か!!?ホーミング聖!!
 あなたともあろう者が!!
 神の地位を捨て人間に成り下がろうというのか!?」
ホーミング聖:
「人間ですよ、最初から」

『ONE PIECE』第77巻764話:ロシナンテ
「“神”を仮に天竜人とするならば」

そして実際のところ、天竜人は神ではない。であればむしろ、神を自称する天竜人の天敵である「“D”の一族」こそ、本当の神なのではないか?

“D”とは、ラテン語で「神々」を意味する「Dii(ディー)」の頭文字である。

これが本稿の結論だ。


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