第2章 古代兵器ゼウス

第1節 エネルと方舟マクシム

第1項 三兄弟のマジックナンバー3

ギリシア神話における王権争いのエピソードから読み取れば、プルトン、ポセイドン、ゼウスの三兄弟が揃ってはじめてマジックナンバー3が成立する。ティタノマキアでクロノス陣営ティターン神族に勝利し、くじ引きによって世界の分割統治を決めた三兄弟が、その中心的存在ゼウスを欠いて、祖父ウラノスが穴を埋めることはありえない。古代兵器にプルトン、ポセイドンがあれば、古代兵器ゼウスもなくてはならない。必須の存在だ。

第2項 「天空神ウラヌス」と「天空神ゼウス」

ところでゼウスもウラノスも、共に神々の王であり天空神なのだが、天空の意味合いが両者では大きく異なる。ウラノスの天空が“宇宙”、すなわち“全世界”を意味するのに対し、ゼウスの天空は“空”、転じて“天候”、転じて“嵐”、更に転じて“雷”、と、より身近な存在としてとらえられている。つまり、ゼウスはたしかに天空神ではあるものの、むしろ雷神としての性格が強いのだ。ティタノマキアにおいても、雷霆という武器で雷を操り、世界中を焼き尽くした。その威力は宇宙の外に在ったカオスまでをも焼き尽くした程だ。

第3項 古代兵器ゼウスの正体

「古代兵器ゼウスは存在する」という推察と、「ゼウスは雷神である」という事実から、簡単に「エネル+方舟マクシム」が古代兵器ゼウスであるという仮説が導きだされる。

ゴッド・エネルは神を自称するゴロゴロの実の能力者。電撃を操り、背中に雷太鼓を背負う雷神だ。方舟マクシムはエネルのゴロゴロの実を動力源として空中を浮遊し、果ては月にまで到達した。天空神かつ雷神であるゼウスに相応しい機能を備えている。

「エネル+方舟マクシム」=「古代兵器ゼウス」説を補強する傍証を挙げよう。

第2節 傍証

第1項 傍証① 方舟マクシムの名称の由来

ローマ神話でゼウスに相当する神はユピテル。ゼウスが「全知全能」と称されるように、ユピテルにも同様のキャッチフレーズがある。「最善最高のユピテル」。ラテン語で「ユピテル・オプティムス・マクシムス」。方舟マクシムの名称は、この「最高(あるいは最大)=マクシムス」のフレーズに由来すると考えられる。

第2項 傍証② 1万Mのシンメトリー

エネルは地上1万Mの空島に住み、方舟マクシムもまたそこで建造された。古代兵器ポセイドンである「しらほし」は海中1万Mの魚人島に住み、対となる方舟ノアもまたそこで建造された。海抜上下1万Mのシンメトリーが成立している。ついでに古代兵器プルトンに言及すれば、地下1万Mのどこかに眠っているのが自然だと考えられる。心当たりを挙げるなら、エニエス・ロビー直下に開く巨大な穴だ。ロビンと共にCP9に連行されたフランキーが、正門が開いた途端、その信じられない光景を見て、

『ONE PIECE』第39巻375話:フランキー
「こりゃあ…滝!!?
 海に穴があいてんじゃねエか!!!
 どうなってんだ!!? この島は!!!」

と叫んだ。周囲の海から海水が流れ込み、滝の様に落ちていくが、全く底が伺えない謎の穴は地下1万Mまで続き、そこには古代兵器プルトンがあるのではないだろうか?

第3項 傍証③ 天候を操る女

方舟マクシムにより還幸を果たそうとするエネルは、神の国への道連れを誘う。唯一ナミがこれに応じ、方舟マクシムに同乗した。ナミは「天候を操る女」(第21巻191話タイトル)。ゼウスは雷だけでなく天候全般を司る。雷神エネルの同行者はナミが最も相応しかった。

第4項 傍証④ 王位簒奪

エネルは空島スカイピアの神の座を、ガン・フォールから簒奪した。これはゼウスがクロノスから神々の王の座を簒奪したことに重なる。

「クロノスが司るもの」に少しふれておこう。クロノスは大前提として「農耕神」だ。後述するが、そこから派生した解釈や誤解まで含めて、クロノスは「時を司る神」であるとされる。ではあるものの、空島編においてクロノスは「農耕神」のようだ。なぜなら、ガン・フォールがカボチャを栽培している。

第5項 傍証⑤ 隠されたゼウスと、代わりに与えられた石

クロノスは、父ウラノスの男根をアマダスの鎌で切り落として成敗し、神々の王の座を簒奪して二代目となった。その際、ウラノスから呪いの予言を言い渡される。「お前もまた、自身の子によって王座を追われるだろう」と。その予言を信じたクロノスは、妻レアが子を産む度に丸呑みし続けた。ハーデス(プルトン)とポセイドンはこの時クロノスに呑み込まれている。

レアは、6番目の子ゼウスの際はクレタ島の洞窟に隠れて産み、妖精たちにゼウスを育てさせる。クロノスにはゼウスの代わりに「布に包んだ石」を渡したところ、クロノスはそれを赤子と思い込んで、そのまま呑み込んでしまった。

その後、成人したゼウスがクロノスに催吐剤を飲ませて兄弟達を吐き出させ、クロノスとゼウスは対立する。クロノス陣営ティターン神族と、ゼウス陣営オリュンポス神族との王権争奪戦争ティタノマキアに発展していくのだが、それはさておきここで注目したいのは「ゼウスの存在が隠された」ことと、「ゼウスの代わりに石が与えられた」ことの2点だ。

作中、古代兵器ゼウスの存在はいまだ隠されている。その代わり読者には「ポーネグリフ=石」が与えられ、目先を変えられている。空島では古代兵器ポセイドンの存在を、魚人島では古代兵器ウラヌスの存在をロビンの口から明らかにし、古代兵器プルトンと合わせて偽りのマジックナンバー3を提示することで、古代兵器ゼウスの存在を巧妙に隠し続けている。

このような作劇手法を「赤いニシン」あるいは「燻製ニシンの虚偽」という。「本題から目を逸らさせるためのおとり情報」、「間違った解釈に誘導するための紛らわしい手掛かり」のことで、要はミスディレクション、ミスリードだ。

イギリスに「キッパー」という料理がある。ニシンを塩漬けか燻製あるいはその両方で加工すると、身が赤く、そして鼻につく匂いになる。この慣用表現の由来としては、赤いニシンの強い匂いを猟犬の訓練に使うという説がある。獲物の微かな匂いを追わせる際に、赤いニシンの匂いをわざと別方向に付けて猟犬を惑わすのだ。

ロビンはアラバスタ王国のポーネグリフを読み上げる際に嘘をついた前科がある。そこに記されているはずの古代兵器プルトンに関する情報をクロコダイルには教えなかった。自分だけの情報として、読者に対しても隠し続けている。ロビンが口にするポーネグリフ、古代兵器関連の情報は鵜呑みにはできない。ウソップは嘘をついても実現してしまい結果として嘘がつけないのに対し、ロビンは読者に嘘をつく権利を持った特別なキャラクターなのだ。

第6項 傍証⑥ 富・名声・力

『ONE PIECE』第1巻1話
「富・名声・力
 かつてこの世の全てを手に入れた男
 ”海賊王”ゴールド・ロジャー」

『ONE PIECE』第1巻2話:コビー
「海賊王ってゆうのは
 この世の全てを手に入れた者の称号ですよ!!?
 つまり 富と名声と力の”ひとつなぎの大秘宝”
 …あの『ワンピース』を目指すって事ですよ”」

富・名声・力。これらを手に入れた者が海賊王だ。これに三兄弟古代兵器が対応するのではないかと推察する。

第7項 傍証⑥-1 【古代兵器プルトン】 ⇒ 【富】

プルトンは、ギリシア語で【富める者】を意味する。冥府を司る神として、地下資源の全てを支配することに由来する。古代兵器の名称として、ギリシア神話本来の神の名称「ハーデス」ではなく別名「プルトン」を充てた理由がここにあると思われる。

第8項 傍証⑥-2 【古代兵器ゼウス】⇒ 【名声】

ゼウスは、「主神」、「神々の王」、「全知全能の神」。神々の中でも最高の【名声】を得た断トツに絶対的な存在だ。

また、空島にはペガサスもどきが登場する。ガン・フォールが乗る、ウマウマの実を食べた鳥ピエールのことだ。馬ではなく鳥なのだが、ウマウマの実の能力で馬に化けると、結果として羽根の生えた馬ペガサスに見える。ギリシア神話においてペガサスは、ポセイドンとメドゥーサとの子供で(ポセイドンは馬の神でもあるため、子供が馬、という奇妙なことが起こる)、ゼウスに仕え、ゼウスの雷を世界各地に運ぶ役割を得ている。そして、紋章学上、ペガサスは「名声」を象徴する。

第9項 傍証⑥-3 【古代兵器ポセイドン】⇒ 【力】

少々根拠が薄いのだが、ポセイドンは【力】の象徴だと解釈する。ポセイドンは大地と海をその力で支えており、地震や津波を引き起こすことができるからだ。


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